2026/04/08
人的資本関連の認定制度とそのメリット
◇ LNOBサステナ経営コラム集 #6
近年、企業価値を支える重要な要素として「人的資本」への注目が高まっています。
人材を単なるコストではなく「価値を生み出す資本」として捉え、従業員の健康、働きやすさ、多様性を経営に組み込む企業が増えています。こうした取組みを社外に分かりやすく示す手段として活用されているのが、人的資本に関する認定制度です。近年は取得企業数も大きく増加しており、企業の人材戦略や組織文化を示す指標として広く認知されつつあります。
本記事では、中堅中小企業でも取得を目指しやすい人的資本関連の代表的な認定制度について、最新の取得企業数や制度のポイント、取得によるメリットを具体的にご紹介します。
人的資本経営とは、従業員の能力や健康、働きやすい環境づくりに投資することで企業の持続的成長につなげていく経営の考え方です。
近年は投資家や取引先、求職者などが企業を評価する際にも「どのような人材戦略を持っているか」「従業員が活躍できる環境が整っているか」といった視点が重視されるようになっています。
しかし、社内で取組んでいる施策は外部から見えにくいという側面があります。そこで活用されているのが各種認定制度です。認定制度は一定の基準に基づいて企業の取組みを評価する仕組みであり、人的資本への姿勢を客観的に示す指標として機能します。実際にこれらの認定制度の取得企業数は年々増加しており、人的資本への取組みが企業経営における重要テーマとなっていることがうかがえます。

2026年には、大規模法人部門:3,765法人、中小規模法人部門:23,085法人が認定され、合計26,850法人に達しました。前年より大幅に増加しており、健康経営への取組みが急速に広がっていることが分かります。

評価対象となるのは、「経営理念・方針」「組織体制」「制度・施策実行」「評価・改善」の4つの枠組みです。具体的な施策としては、定期健診の受診率向上やメンタルヘルス対策、ワークライフバランスの推進などが挙げられます。
認定企業はロゴマークを使用でき、採用活動や企業PRに活用できるほか、自治体や金融機関による融資優遇などの対象となる場合もあり、企業価値向上につながる制度として注目されています。


評価は主に次の5項目で行われ、基準を満たした項目数に応じて3段階の認定が付与されます。また、さらに高い水準の取組みを行い、行動計画に定めた目標を達成した企業に向けた「プラチナえるぼし認定」も用意されています。

認定マークを求人広告や広報活動に使用できるため、企業イメージの向上や価値観に共感する優秀な人材の確保にもつながります。その結果、認定企業数は2026年3月末時点で3,458社にまで拡大しており、企業の女性活躍推進の取組みが着実に広がっています。

より高い水準の取組みを行った企業向けの「プラチナくるみん認定」や、新たな認定基準を満たした企業向けの「トライくるみん認定」もあります。さらに、不妊治療と仕事の両立をサポートする企業を評価する「プラス認定」も加わり、多様な働き方への支援が推進されています。
2026年3月末時点では、くるみん認定企業は5,019社に達しており、子育て支援に取組む企業が着実に増加しています。企業の子育て支援姿勢を示す指標として社会的認知度も高く、従業員のモチベーション向上や定着率向上といった効果も期待されています。

人的資本に関する認定制度は、単なる「表彰」ではありません。
取得に向けた取組みを進める過程で、労務管理や人材施策を整理することになり、結果として組織基盤の強化につながるケースが多くあります。認定取得には、次のような具体的なメリットがあります。
特に中堅中小企業にとっては、制度を整備すること自体が組織づくりを前進させるきっかけになることも少なくありません。

人的資本への取組みは、企業の持続的成長を支える重要な経営テーマです。「人的資本経営に取組みたいが何から始めればよいか分からない」という企業にとって、認定制度は具体的な第一歩となります。自社の現状を整理し、取得可能な制度から検討してみてはいかがでしょうか。
・経済産業省「健康経営ガイドブック(2025年3月版)」
・厚生労働省「女性活躍推進法に基づくえるぼし認定・プラチナえるぼし認定のご案内」
・厚生労働省「次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定し、くるみん認定・トライくるみん認定 プラチナくるみん認定を目指しましょう!!!」

